ここだけの話をしよう

世界が終わっても 君を終わらせないんだ

涙のあとには何とやら

 

 

11年前。

小学5年生だった私は、おとなに夢を笑われた。


まだガキだったけど、とにかく悔しかった。

まだガキだったから、うまく笑えなかった。

まだガキだったから、親に悔しさを素直にぶつけた。


誰かに受け止めてもらえる愛を知った。

“親”の偉大さを知った。

 

でもなんとなく、〝私はこれが好き!〟と躊躇なく言える私ではなくなった。

 

 

あれから11年。

私は社会人と言われる肩書きを得て、社会に出た。

あの時笑われた夢を追い続けながら、色んな経験をした。色んなものを見て、色んなものを味わって、色んなことを知った。

 

 

そんな私もまた、おとなに夢を笑われた。

 

 

もう大人だけど、やっぱりこの上なく悔しかった。

でももう大人だから、うまく笑って誤魔化した。

もう大人だから、しんどくて苦しくてツラかったけど、誰かに助けを乞うこともできなかった。ひとりで抱えた。我慢した。

 


苦しかった。

大好きなものを馬鹿にされて、笑われて、私が今まで10年以上追ってきた過去を否定されて、これから叶えたかった未来まで否定された気がした。

11年前のあの時より、ずっとずっと苦しかった。

 

 

世界が見えない。明日なんか、もっと見えない。

朝見た時は黄色や紫に彩られていたはずの花壇さえ、帰路についた私の 涙で滲んだ目の前の景色は、モノクロ映画の世界のようで。

 

家に帰って泥のようにベッドになだれ込み、どんなCDが入っているかも確認しないまま、コンポの再生ボタンを押した。

 

 

朝じゃなくても 決意をして

春じゃなくても また会いましょう

 

 

『春じゃなくても』。

5日前、フラゲ日に買ってすぐ聴いて、コンポに入れたままになっていた『rainboW』の1曲目。

 


大好きな曲だった。

大好きな人達の大好きな音楽に乗った、大好きな熱量。このCDを手に入れた時から、何度も何度も聴いた。

でもほんの数時間前の私の耳は、暫く詞(コトバ)を遮断していて。

音をただ聴き流していたら いつの間にか1番が終わっていた。

ちゃんと詞に耳を向けた頃、聞こえてきたのは。

 

知らず知らず僕らは 学んできたのさ

建前とか空気の読み方だとか

それはそれで必要 わかってるけど

 

傷つけられた時の上手な笑い方も、誰かに甘える弱さも、大人になるにつれ学んできた。

社会に生きる人間の必需品だと思ったから。それがなきゃ、生きられないと思ったから。


本音と建前を使い分けて、空気を読みながら上手く笑って我慢して生きていかなきゃいけない時もある。


わかってる。わかっちゃいるんだけど。

 

 

なんかもっと単純に笑ってたいよな

 

 

目から溢れた熱い何かが頬を伝った。

 

重岡くんの、弱々しいのに力強いあの言葉に、

重岡くんの、今にも泣きそうなのに それでいて力強く土に根を張り  眩しすぎる太陽に手を伸ばした 真っ赤に燃えたあの叫びに。

 


心が震えた。

涙が、止まらなかった。

 

 

だから朝じゃなくても 決意をして

春じゃなくても また会いましょう

嘘じゃないこと 大事にして

僕はいつでも ちゃんと僕でいよう

 

“今” が “いつ” かは関係なくて。

大切なのは〝今この瞬間〟で。

好きにも嫌いにもどちらでもないことにも、正直でいることが大切で。正直でいる自分が大切で。

いつでも どこでも 私 は 私 で。

 

好きなら好きと 言えますように

ズレてるなんて 誰が決めるんだろう

 

私が10年以上閉じ込めた「私はこれが好き!」の箱にかけた鍵を、淳太くんが 優しく こっそりと イタズラな笑顔で開けてくれた。

私の夢を笑ったおとなを、照史くんが 力強く一蹴してくれた。

 

明日のことは わからないけど

つまり未来は 可能性だらけ

 

私の未来が、照らされた。

もう生きたくないと思った明日が、希望なんてないと思った未来が、“可能性”という形で私の前に現れた。


ジャニーズWEST 7人の歌声が、そっと優しく ぎゅっと力強く 私の手を引いてくれた。

 

 

彼らの姿は見えないけれど、「ラララ ララララ」と 言葉のないメロディーを歌う彼らの声は、本当に本当に楽しそうで。

しんでいて。

 

 

僕はいつでも ちゃんと僕でいよう

 

 

ストリングスの余韻とともに長く伸びた重岡くんの歌声は、それはそれは優しくて 温かくて 春の朗らかな太陽のようで。そして同時に、彼の根強い覚悟のようで。

 

「私はいつでも ちゃんと私でいよう」

 

あの数秒のロングトーンで、そう思わせてくれた。

音が鳴り止むその瞬間まで、彼らは私を救ってくれた。

 

 

太陽はいつだって太陽だ。

いつどんな時だって花に光を、温度をくれる。あと1日雨が続いたら根腐れを起こしていたであろう花も、太陽の顔を見ればなんだか次第に元気になって、花を開かせる。

 

のあとにはが出る。

が出る時、空には必ず太陽が。

 

私にとって重岡くんは、ジャニーズWESTは、

“そういう存在” なんだ。

 

 

『Rainbow Chaser』というリード曲を掲げたこのアルバムは、彼らジャニーズWESTが7年かけて積み上げてきた音楽力の証明であり、彼らが応援歌を歌い続けてきた結果でもある。

 

 

バカにされたって 笑われたって 手を伸ばした

キミは Rainbow Chaser

もう 逃げ出したくて 泣き出したくて

 

馬鹿にされて笑われて、それでも諦めることなく10年以上同じ夢を追いかけてきた私は“夢想家”にカテゴライズされるのかもしれない。

叶いもしない夢をダラダラ追いかける、ダセェ奴なのかもしれない。


そんな自分だって間違ってないんだと言える自信はどこにもなかったし、11年前のあの日だって今日だって、逃げ出そうとした。何度だって泣きたくもなった。


でも。でも。

 

神山くんのシャウトに感じた、紛糾にも近い、葛藤や踠きの入り交じった 世間への抵抗 。

それはまるで、私の今の声をを投影した叫びのようで。

 

 

声にして言おう 好きは好きでいい

Oh We're The Rainbow Chaser

 


「好きなら好きと 言えますように」と願ってくれる彼らが、“好きは好きでいいんだ” と、“声にして言っていこう” と、そう言ってくれるから。


「夢想家? 俺らもやで。お揃いやな。(笑)」

と、肩を組んで笑ってくれたから。

 

〝私はこれが好き!〟を閉じ込めたパンドラの箱は、ジャニーズWESTという最強集団によって完全に開放された。

 

 

ひとりだけど、独りじゃなかった。

私のすぐそばに、ジャニーズWESTという集団が、『rainboW』というアルバムがあってくれて本当によかった。

 

 

 

 

「つまずきそうな時、涙で景色が滲む時。

 あなたのジャニーズWEST、出番です。」

 

 

 

 

 

 

私は、そんなジャニーズWESTのことが

大好きだ。

 

 

 

 

 

 

 

2021.03.21