かわいいひと の話をしようと思う。
ジャニーズWESTのオタクを孫に持つ、81歳女性の話。
2年前に5歳上の旦那がお空へと旅立った。
今は孫(わたし)とふたり、生活している。
「最近の子はみんな同じ顔に見えるわね☺️」が口癖のおばあちゃん。
歌番組を見ながら「早口で何を歌っているかわからないのも、私が歳をとった証ね☺️」と、ちょっぴり寂しげなおばあちゃん。
彼女は一通り家事を終えると、HDDに録画してある時代劇を観るのが日課。録画してある時代劇といえば聞こえはいいが、再放送の再放送だったり、ドがつく定番であったりと、見飽きた番組ばかり。それでも、今日の感染者数や死者数等、憂鬱でしかない報道番組よりはよほどいいと、流し見している私でさえ内容を色濃く憶えてしまうほど、毎日毎日同じ時代劇を見続けていた。
「何か面白いテレビないかしらね〜」
そう言いながらお昼寝してしまうのが、彼女の日常だった。
孫である私はおばあちゃんの時代劇を邪魔しないよう、観たい番組や動画がある時は自分の部屋に籠るようにしていた。
ところがある日、「いつもお部屋で観てるのって、このTVじゃ観られないの?」とおばあちゃん。
私はFire Stickをリビングのテレビに設置し、もしかしたらおばあちゃんにも楽しんでもらえるかもしれない と、『パパジャニWEST』を再生した。
再生して数分。
おばあちゃんが、声を出して笑っていた。
おばあちゃんが、声を出して、笑っていた。
久しぶりだった。
おばあちゃんの、アハハと響く笑い声。
おばあちゃんはその日、時間の許す限りパパジャニを観続け、一日が終わる頃「なんだか、今日は良い日だった☺️」と穏やかに笑ってベッドに向かった。
それからというもの、パパジャニはおばあちゃんの楽しみのひとつになったようで。
私がお仕事の日も、帰ると「今日は双子ちゃんがおうちに来てね、」「あの子たち真冬にキャンプ行ってたのよ!」などと嬉しそうにパパジャニの感想を報告してくれた。
パパジャニWEST #43 「ありがとう」じゃ足りない を見終えるまでにかかった日数 計4日。
4日間、おばあちゃんは毎日嬉しそうに感想を教えてくれて、毎日嬉しそうに眠りについていた。
そしてこの4日間、1日も欠かさず必ず言っていたおばあちゃんの特大感想が
「この子たちがバカやって笑ってる姿、本当に楽しそうでみんな優しくて、見てるこっちが楽しくなっちゃうわね☺️」
たしかに昨日言ったことを忘れてしまうことはあるし、何度も同じことを繰り返すことだってある。
でも、観た回も観た感想も日々異なるなかでこの感想だけ、唯一毎日共通して教えてくれた。
これは単なる老化現象ではない。
ジャニーズWESTが、おばあちゃんにちゃんと、ちゃんと届いてる証だ。私はそう言い切りたい。
嬉しかった。
ジャニーズWESTの良さって、届くべきところに、ちゃんと届いてんだな。
ジャニーズWESTが届けたいものって、届けようとしてるものって、間違っちゃいないんだな。
おばあちゃんはパパジャニを見終えてからもリア突にVS魂、ヒルナンデスを毎週の楽しみにしてくれていて、音楽番組に出ると言えば私より先にチャンネルを合わせて待機するようになった。
とはいえ入りがパパジャニだったせいなのか、音楽番組に出るジャニーズWESTを見ると心做しかソワソワしている気がするし、「この子(重岡くん)が真面目な顔して歌ってるの、変な感じするわね〜(笑)」と、重岡くんの歌唱姿に照れている。
なかなか俳優さんなどの顔や名前を覚えないおばあちゃんも、最近はメンバーひとりひとりが判別できるようで、私がメンバーの名前を言えば「あぁあの子ね!」とハッキリわかるし、おばあちゃんの中でもぼんやりとではあるけれどメンバーの呼称が決まりつつある。
以前よりヒルナンデスを見ていたのもあって、照史くんと淳太くんは「お昼の子」(2人を区別して言いたい時は照史くんが「なんでもできる子」、淳太くんが「いちばん年上の子」)。
VSを見ているからなのか、流星さんは「りゅ〜せ〜」。
スカッとカラオケの印象が強いのか、濵田さんは「歌の子」。
神山くんは「良い子」。(雑)
小瀧さんは「筋肉」。(さらに雑)
孫の自担 重岡くんはというと、どこの何から影響を受けたのかまったくわからないが、まったくわからないが、なぜか「だいき」と呼んでいる。
もしかしてだけど………… 好きなん?(?)
サムニュー発売週だって、スポットCMを見れば「じゃにうぇす!じゃにうぇす出てるよ!あぁいなくなった!!」とはしゃいでいたし、ラヴィットも私が出勤で途中離脱すると、「おばあちゃんが代わりに観とくからね!!👍」と楽しそうに見送ってくれる。
おじいちゃんがいなくなってから、こんなにも楽しそうなおばあちゃんを見たことがあっただろうか。
大好きだった旅行にも行けなくなり、何かと暗いニュースが連なる日々で、唯一近くにいてあげられた私は何をしていたんだろうか。
そう思わされるくらい、ジャニーズWESTに出逢ったおばあちゃんはとてもとても幸せそうなのだ。
どんなにボケが面白くなくても(コラ)、そのボケに笑うメンバーがいれば、おばあちゃんも涙を流して笑っていて。
子どもに対して真摯に、一生懸命向き合うメンバーを見れば、おばあちゃんも「じゃにうぇす、本当にスゴい。全員スゴい。」と尊敬していて。
顔を突き合わせて歌うメンバーを見れば(CDTV ライブ!ライブ!)、おばあちゃんも彼らの圧倒的歌声に聴き惚れては、楽しそうに歌う彼らの“姫”になっていて。
怪我をしてなおステージに立つ決意をしたメンバーを見れば(RIDE ON TIME)、おばあちゃんも号泣しながら「えへへ〜(笑)感動しちゃった(笑)」と感動していて。
おばあちゃんに、81年間酸いも甘いも色んなことを経験してきたひとりの女性に、外に出ることへのリスクに怯え家の中でつまらない毎日を過ごしていたひとりの人間に、ジャニーズWESTは〝号泣するくらいの感動〟をくれた。
私にはあげられなかった、〝一輪の光〟を。
私を育ててくれた、私のだいすきな かわいいひと。
悪いところもちょこちょこ出てきたね。自分のからだが思うように動かせなかったり、自分が言っていることがわからなくなってしまったり。
でも、そんな貴女は、これからもっともっと可愛くなっていく気がするの。
“じゃにうぇす”と過ごす、これから、で。
ふたりでお茶とお煎餅を机に置いてパパジャニを観ながら笑ったあの日も、「おかえり」と同時に抑えきれない興奮を共有してくれたあの時も、小瀧さんに感動して流していたおばあちゃんの貴重すぎるあの涙も、大切な思い出。
これからもそんな小さな思い出を重ねて、いつか振り返るその時に、笑っていられますように。
私たち家族に 色とりどりの思い出 と かけがえのない これから を、ありがとう。
2021.05.24